アルバラシン株式会社
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結婚式参列のための訪日外国人サポート


日本人の男性と結婚される娘さんの結婚式参列のために、タイから来日されたタイ人のお客様の旅行サポートを行いました。

56歳女性、肺腺がん4期/骨転移+の患者様でした。

 

タイのかかりつけ病院からの診断書では化学療法は著効しているということ。

しかし、それ以外にほとんど情報がありませんでした。

娘さんからの情報によると、お母様は呼吸苦を訴えることなく日常の労作を行うことが出来るという話でした。

それでも、移動の航空機内は酸素分圧が地上よりも低く、疾患の進展度によっては呼吸不全になりかねません。このため携帯用の酸素を手配しました。

また、骨転移については痛み止めを使わずに対応できているとのことでしたが、いつでも痛みに対して対応できるように医療用麻薬を含んだ鎮痛剤の処方準備をしました。

 

やや緊張して迎えた初めての往診。

宿泊されている、新宿のホテルの一室でご家族が見守る中の診察です。

最初は、ご本人も付き添われたご家族のみなさん不安でいっぱい、非常に硬い表情でしたが、「日本で一番イケメンの医者が診察をするよ」というと笑顔がみられました。

ご本人と私は簡単な英語でコミュニケーションをとり、難しいことは、娘さんがタイ語―日本語の通訳をしてくれます。

問診と直近の血液検査の情報を拝見後、バイタルチェック、聴診、腹部と心臓のエコーを行いました。

診察の結果、おそらく安全に日本滞在を楽しんでいただけるであろうこと、しかし、熱発、むくみ、呼吸苦、痛みのいずれかが出現した場合にはすぐに連絡してもらいたいこと、を紙に書いてお伝えしました。

は特に異文化コミュニケーションでは、「~があったら…に連絡して」などと明確な指示をすることが重要だと思っています。

 

次にお会いしたのは結婚式の日。「日本での日々が楽しくてちょっと歩きすぎた、そのせいで骨転移がある骨盤部に痛みが出ている」とおっしゃっていましたが全体に症状の悪化はありませんでした。頓服の鎮痛剤を準備しながらも予定通りの旅程を進めて差支えない旨お伝えしました。

 

最後の診察は帰国直前です。前日に西伊豆に行かれたとのことで、疲れは見えましたが、問題なく帰りのフライトも過ごせそうだとお見受けし、こちらもホッと一安心しました。

 

今回、不安を背負って訪日して下さったタイのお母さん。

限られた時間を心配なく最大限に楽しんでもらうにはやはりプロによる安心の提供が重要だと思います。

あらかじめ想定したリスクに対する準備。

何か症状が出現した際に、それでも旅を続けるべきか中止するべきなのか、その判断と根拠の説明。

緊急時に、右も左もわからない異国で安心できる医療機関にかかれるのか?

一方で、医療機関側にとっても、日本の医療保険を持たない訪日旅行者にどこまで支払い能力があるのか不安をもちます。

そんな時に保険会社のオペレーターによるマニュアルに基づく説明とは異なり、病状とヒトを知り、顔が見える関係になっている旅行サポート医が間に入ることの意義は大きいのではないでしょうか。

今後もますます増える訪日観光客のお役に立てるよう日々精進します。

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