アルバラシン株式会社
病気や障害があっても旅行を楽しめる世の中へ
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海外での宿泊キャンセルにおける診断書の依頼


子宮がんⅣ期で昨年末に余命宣告されたSさんより相談がありました。

 

年明けにセカンドオピニョンを求めに受診された病院で、手術が可能だろうと診断されたとのことです。

非常に喜ばしいことで私自身もうれしく感じました。ただ、実はSさんは今月初旬からにタイ、マレーシアを2週間ほど周遊する旅行を計画されていました。しかし、手術を目的とする諸々の術前検査や診察予定が入ったことで旅行はキャンセルにせざるを得ません。

 

Sさんは旅行会社を通して、それぞれのホテルにキャンセル依頼をかけたのですが、宿泊予定日が迫っていただけにキャンセル料金は全額かかると説明されたようです。そこで、今回このような理由でキャンセルを希望しているが、手術が終わった暁にはあらためて貴施設を利用するつもりであると説明したところ、今回は、医師の英語診断書を提出してくれればキャンセル料に対しては忖度するという旨の返答があったそうです。

早速、Sさんは現在かかっている病院で相談しました。しかし、診断書記載には時間がかかるため無理との返答。

2/8にタイムリミットが迫る中、当社に相談がありました。

当社は医療機関ではないので診断書そのものを発行することはできません。

しかし、私はこれまでの病歴と最新の画像検査・採血検査の結果を拝見し、私が勤務し、提携する医療機関にてSさんを診察後、診断書を記載しました。

 

宿泊施設にはそれぞれのcancellation policyがありますが、こうした交渉を行う価値はあります。英語でのやり取りになれていない日本人は海外でのこうしたケースに泣き寝入りしてしまうことが多いのですが私の経験上もレベルの高いホテルであればあるほどしっかりと対応してくれる印象があります。

 

アルバラシン株式会社では、ご旅行に派生する医療的な問題への相談を受けつけています。

迷ったらまずはご相談ください。

 

 

 

とある一日


こんにちは代表の川上です。

私はいまは週3回を、千葉県山武市の中核病院である「さんむ医療センター」に非常勤医師として勤務しています。

この地域で仕事をして7年になります。もともと2017年の8月までは、常勤医として外来・入院患者さんを受け持っていました。内科全般を診ておりましたが特に糖尿病と腎臓病の患者さんを多く見ていました。

 

昨日、医療センターの生活習慣病対策委員会と山武市の健康支援課および地域包括センター共催のもと糖尿病サポーター講座と称した勉強会を行いました。

 

昨年に引き続き2回目の開催です。
「糖尿病をもった地域の高齢者・被介護者をその人らしい生活ができるように支援しながら、でも重症化させないにはどうしたらよいか。」がテーマです。

4つの介護事業所が持ち寄った6症例を材料にケアマネージャーさん、ヘルパーさんたちと意見交換をしました。

こうした勉強会では、意見交換の中身も重要なのですが、病院の医療者よりもより患者さんの日常に近い場で働かれている人たちの思いや考えを知り、お互いに顔の見える関係がつくられることに価値があるなと感じています。

 

参加されたヘルパーさんの一人に、
「障がいをお持ちの方への旅行支援をやりたいと思い、準備を進めています」という方がいらっしゃいました。
障がいをお持ちの方にも楽しんでもらえるよう、横芝光町の観光開発に携わっておられるようでした。

 

勉強会がおわったあとに電話がなり、でると先日旅行に行かれたFさんの奥様からでした。
「先生今どこにいるの?おいしいお肉が入ったから寄らない?」
「行きます!行きます!」

 

勉強会もうまくいき、ひょんな出会い思いもあり、Fさんの近況も聞けてなんともすがすがしい一日でした。

富士に降りそそぐ陽光


藤沢の在宅往診クリニックで診させていただいている肺がんの47歳の女性を御看送りしました。

初めてお会いしたのが9月末。比較的中枢の気管支を閉塞するような腫瘍でした。

舌癌、甲状腺癌での治療歴もあり、口から食事をとることができず、胃瘻(胃と腹壁の間に作った瘻孔)から栄養剤や薬を流していました。その時点で、亡くなるまでの時間は1-2月くらいかなと予想しました。

痛みのコントロール目的で医療用モルヒネの投与が始まりました。お薬の調節で精神的にも落ち着くようなり安定した時間が続きました。「先生、生きるって大変なことなんだね」

 

そんなある日、一枚の写真を見せてくれました。
「きれいでしょ。富士のすそ野でみた太陽なの。もう一度みたいな」。神職である御主人は、その地に古から伝わる神社を再興しようと奔走されていました。
「それなら11/23の豊穣祭にあわせて行きませんか。御主人も応援しに。」「そうだね、そうなると最高だね」すごく、うっとりと美しい表情でした。

 

しかし、2週間前から喀痰量が多くなり、胸に水も貯まり呼吸状態が悪化。それに伴い、痛みや不安のコントロールが胃瘻からの薬だけでは難しくなりました。
「もう苦しい、早く死なせて」

呼吸苦を緩和させるために胃瘻からの栄養注入が中止。より一層、痛みや不安が緩和されるように皮下からの持続点滴に切り替わりました。

最期は本当に穏やかでよい表情をしていたね。
一緒にいさせてくれてありがとう。
本当にお疲れ様

F様 とびきりの新米と紅葉、芸術まで秋満喫!中越の旅


84歳のF様の課題は糖尿病、腎不全と骨折既往歴です。

腎臓は100点中13点くらいと高度に低下しています。一般的に、10点以下になると透析の準備を始めますので、かなり腎不全が進んでいるということがおわかりになるでしょう。腎臓が悪い人は、水分摂取量や食事の中の塩分やカリウム、蛋白の摂取量に注意する必要があります。
また、感染症などに罹患すると急激に悪化することがあります。

糖尿病に対しては毎朝インスリンを打ち血糖測定を行っています。
旅行中のインスリン打ち忘れ、低血糖は心配です。

腎臓病・糖尿病いずれも食事に注意が必要です。
「旅行中ぐらい気にしないで楽しんでもいいではないか」という声もあがりますが
旅行にいったために残された病状が悪くなることは100%避けなければなりません。

さらに片側の大腿骨骨折既往歴がある方は反対側も骨折しやすい。
実際に旅行に行く2週間前にお風呂で転倒されたことから細心の注意を払う必要がありました。
大腿骨骨折をおこし早期に手術を行ってもリハビリを行いもとの日常生活に戻るには半年近くかかります。

本当に、このような方が旅行に行けるのでしょうか??

はい、いけます!!

食事・インスリン・転倒予防に細心の注意を払うようなプランをご用意しました。

旅行から帰宅して3日目に採血検査を行いました。
どきどきの検査結果~
・・・・・

全く問題なし。普段めったなことで笑わないF様がニコニコでした。

「旅行に行けるなんて夢にも思わなかったよ。十日町で見た縄文土器は本当に大したものだったなぁ。魚沼のコメは本当に美味しかった」

一緒に行った奥様
「昔は主人とよく鎌倉や箱根の山を歩いたの。赤く紅葉して美しいブナ林で500mくらい主人と歩いてほんとに楽しかった。介助してくれた十日町タクシーの運転手さんにも本当に良くしてもらったわ」とお話しされておられました。

Iご夫妻、脳出血後遺症の妻と膀胱瘻のご主人、知床2泊3日


脳出血のため右不全麻痺となりリハビリを行っているIさんのご主人より、妻とまた旅したいと依頼がありました。
「また旅行に行けるとなったら、妻もリハビリの励みになると思うんだ。やっぱり希望がないとな」
ご主人は、糖尿病神経障害のため膀胱が正常に機能せず排尿できないため膀胱に管が入っています。

早速、ご夫婦の家を訪れました。壁には旅先でとられた多くの写真が飾ってありました。
「僕たちはあちこちにいったけど、北海道にはいったことがないんだよ」

近くの公園でお二人がリハビリをする姿を拝見。陸上競技場のような平らで足元にやさしい道を毎日、朝・夕と300mの距離を35分かけて歩かれていました。
障がいのない方のゆっくり歩行が4km/時ですから、7分の1くらいのスピードでゆっくりゆっくり。。
なので長距離を移動するときは車いすの登場です。

旅は9月下旬に私が網走の病院で勤務する日にあわせ実施し、私が同行しました。
往復の飛行機に乗るのもドキドキですが、様々な職員さんの連携プレーのおかげで安心できます。

初日は女満別空港-メルヘンの丘-網走刑務所-能取湖のさんご草群落-ウトロ温泉。
2日目と3日目で知床を満喫していただきました。
熊も見れたし天気も良く最高の旅行日和でした。
久々の旅ですので宿はウトロに連泊するプランをご提案しました。

お二人の感想:「普段の生活圏から離れ、思い切って旅に出てみて不安が多かった。でも宿の人、船の人、タクシー運転手、空港職員などいろいろな方に親切にしていただいたことでこれからも旅行に行けると感じた。旅行後も近くの公園をリハビリ目的で歩いているけど、そこでよく遭遇する友達が、旅の間いなかった自分を何かあったんじゃないかと心配してくれた。そのあと旅の話で盛り上がったんです」

私もお二人に同行したことで気づかされたことがたくさんありました。
病院の中で医療を行っているだけではわからないことがいろいろとあります。

K様、5年ぶりの旅・「初めの第一歩in 浅草」


5年前に頚椎症を発症したK様より旅程提案の依頼がありました。

頚椎症は首の後ろを通る頸椎が圧迫されることで頚髄という神経伝導が障害され、上下肢の知覚異常や筋力低下が進行していく病気です。

K様の場合、数年前に整形外科の先生に手術をしてもらいましたがそれでも完治せずに、徐々に下肢筋力が低下し今は自力で立位を取ることが出来ません。また、手の握力が効かないので食事や身支度などを行うのも助けが必要です。

病気は進行性で、今後よくなる見込みはほとんどないといわれたことから、徐々に抑うつ的な表情が目立つようになっていました。1年前にご自宅の近場で孫の結婚式があったそうですが、その際に肩身の狭い思いをされたようで、もう遠出も旅行はあきらめておいででした。

 

そんな中、今現状で何ができて何ができないのかを知ろうという目的で車いすをご主人に押してもらい、浅草で一泊することを提案しました。浅草の見どころは比較的集約されており、道もある程度広く、車も少ないので散歩にはもってこいです。

旅のコンセプトは「初めの第一歩」です。

 

感想:「正直、気を使って疲れたよ。でも意外といけるんだなって思った。もう前みたいに歩くことはできないけどどこかに出かけることはできるんだな。孫が「ばば今度ディズニーランドに行こうよ」というから今度行くことにしたよ。」

船橋に住む4歳のお孫さんは、「ばあばの手は僕が治すんだ」。

ほかの人が車いすを押そうとすると「僕がやる」といってきかないそうです。

 

そんな話を聞いて私は何ともうれしくなりました !(^^)!

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